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− 今回は開催100周年記念大会ですが、まずは率直な感想をお願いします。

清水:歴史の重み、その一言に尽きますね。 ただ、その歴史というのは、早稲田・慶応の先輩はもちろんのこと、地元の方々、ボートファンの皆さん、応援・支援してくださる方々がいたからこそ、重ねることができたものです。

− 100年のあいだに、どういった歴史、ドラマがあったのでしょうか。

清水:毎回のレースには必ずドラマが存在するものですが、特に有名なレースは昭和32年、第26回大会ではないでしょうか。
 このレースは「沈没レース」の名で語り継がれています。私が部員で漕いでいた頃も、伝説のレースとしてよく聞かされたものです。
 このレースは強風と大雨、水面は白波が立つ状態で強行され、早慶両艇ともスタート直後に沈没 の危機にさらされたのです。早稲田は「なんとしても艇を沈めずゴールに着けるのがボートマンシップ」と、8人全員で漕ぐことを断念、8人中2人は準備していたお椀で水を掻き出しながら漕ぎ進みました。一方慶応は「何があってもオールを手から離さず、漕ぎ続けるのがボートマンシップ」と、浸水してもひたすら漕ぎ続けました。慶応は最初リードしていましたが、厩橋付近で沈没してしまい、早稲田はその横を漕ぎぬけゴールしました。審判の判定は「早稲田の勝ち」でしたが、早稲田は勝利を辞退し、慶応に再試合を申入れました。ところが慶応は「審判の判定に従う」として早稲田の勝ちを認め、再試合を受けませんでした。この両校のやりとりが素晴らしいスポーツマンシップであるとして、小学校の国語の教科書の題材にもなったのです。

− ボートのレースというと戸田ボートコースが主ですが、早慶レガッタはどうして隅田川なのですか。

清水:日本のボート競技のはじまりは隅田川なのです。はじめたのは大学生で、その各大学の艇庫が隅田川沿いにあったのですね。中でも早慶レガッタは現在残る最も伝統ある大会のひとつですから、その原点に1年1回、戻るということです。

− いま、早慶レガッタの目指している方向は、どういったものでしょう。

清水:今日ではさまざまなスポーツに触れる機会が増えたように思われますが、ボート競技の存在が知られることは、やはりまだまだ少ないでしょう。まずはボート競技の存在を、この大会を通じて知ってもらいたいと思っています。また、この大都市の中ではありますが、川という自然に親しむことができるスポーツのすばらしさも感じていただきたいと思います。

−早慶レガッタの「あるべき姿」とは何でしょうか。

清水:「隅田川の春の風物詩」「春のはじまりは隅田のレガッタから」そんなフレーズが定着するくらいに、皆様に親しんでいただきたい。
 そしてそのためにも、観客の皆さんを興奮させる、ハイレベルのレースが行われるべきですね。

−地域振興、地元との交流(招待レース)、ウォーターフェア、水資源関連の展示コーナー、記念プレート製作などを企画しているそうですね。これらについて教えてください。

清水:早慶レガッタは、グラウンドとか体育館といった施設での大会ではなく、河川というスケールの大きな公共の場を使います。河川は地元の方々とも密接に関わるものでもあり、墨田区、台東区の区民の方々との相互理解がなくては成り立ちません。大学ボート部の拠点が戸田(埼玉県)に移ってしまった今では、学生との日常的な交流は困難ですが、OB会等が中心になり、区民の方々との親睦を図っています。今回の100周年記念大会では、地元の方々や、そこを訪れる観光客の方々にも「ここがあの早慶レガッタをやっている所なんだ」とわかっていただけるような、何か記念になるものを造りたいと区の方にも相談しております。

−「水資源」ということば、これについて教えてください。

清水:かつて隅田川は激しく汚染され、隅田川での早慶レガッタ開催ができなかった時期もありました。しかし現在、隅田川はきれいになってきています。だからこそ、我々も隅田川での開催を復活し、継続できています。夏にも同じ隅田川でボートレースを開催していますが「水の週間」に携わる東京都、国土交通省、水資源機構の方々とも関係を深めることができました。我々のボートレースでも、いかにして隅田川が浄化されているのか等の「水資源関連の展示コーナー」を用意しますので、ぜひご覧ください。

− 早慶のボート部員が地元でボート教室を開いたりしたら面白いのではないかと思います。  そういった予定はないのですか。

清水:ボート教室とまではいきませんが、今年は墨田区を中心とした中学生に参加していただくレースを設ける予定です。これを機に交流や指導ができればと思います。既にOBが指導に加わっています。

− 多くのスポンサー、協力企業・団体についてどうお感じですか。

清水:隅田川で、これだけの規模の大会を我々ボート部OB・OGの素人集団が毎年運営していることを知って驚かれる方がたくさんいらっしゃいます。ただこれも、このレースにご理解をいただき、パンフレット広告等にお金を出していただいている個人や企業、また地元両区からのご援助があってこそ可能になるのです。感謝しています。




                       

                                                           

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