「技の慶應、力の早稲田」 早稲田と慶應の戦いぶりを形容するこの言葉は、これまで幾度となく 使われてきました。 一般に、体格が大きくパワーで艇を進める早稲田に対し、慶應は8人で合わせて漕ぐ高い技術で 艇を進めると言われています。その年その年で多少の違いはあるにせよ、第73回 大会は、まさにこの言葉が当てはまるレースでありました。
レース2週間前に行われた「お花見レガッタ」で、早稲田は荒削りながらも力強い漕ぎで、 大学勢の中で1位という結果を残しました。早慶レガッタでも下馬評では「早稲田が有利 だろう」という意見が多数を占めていました。
一般に、雨天のときは雨が隅田川の波を抑えつけるため、比較的良い コンディションの下でレースが行われますが、この場合、力で勝る早稲田に有利に働きます。 一方、快晴の天候の場合、この春の時期は風が舞うことが多く、コンディションが荒れる ため、技で勝負する慶應が有利だと言われています。
この日の天気は快晴。午前中はほとんど無風であったのが、対校エイトの時間が近づくにつれ、 強い風が吹き始めたのです。隅田川の波は収まることを知りません。
スタートで圧倒的な力で突き離しにかかるはずだった早稲田が、隅田川の波に苦しみます。 一方、慶應は力で早稲田に劣るものの、高い技術力を持って8人で早稲田をじりじりと離しに かかります。
結局、早稲田は一度も慶應の姿を見ることなく、一方慶應は、絶えず早稲田の背中を 見ながら漕げるという楽な展開に持ち込み、技の慶應が力の早稲田に「完勝」したのです。










